難消化性の糖質であるオリゴ糖を摂ることは腸内フローラの改善に効果的です。
オリゴ糖はもともと虫歯にならない甘味料として開発されていましたが、東京大学名誉教授の光岡知足氏の研究室で、オリゴ糖にはビフィズス菌の増殖を促す性質があることが分かってきたとされています。
その理由はオリゴ糖は酸性に強いビフィズス菌のエサになるからです。反対に、酸性に弱い腐敗菌にはほとんど利用されません。
また、光岡知足氏によれば、病院で治療中の23人(50~90歳)の腸内フローラを観察した結果、2週間にわたってフラクトオリゴ糖を摂取すると、摂取前に比べてビフィズス菌の数が約10倍になり、また、検出率も87%から100%に増加することが確認できたと言います。
さらに、「便の㏗も酸性に変わり、排便はもちろん、血清コレステロール値、中性脂肪値、血圧なども改善」されたとしています(参考 光岡知足『腸を鍛える―腸内細菌と腸内フローラ』)。
そのオリゴ糖とは、一般的には炭水化物が分解した時にこれ以上分解できない最小単位である「単糖」が3~10個結びついたもののことを指しています。
また大腸内のビフィズス菌のエサになる理由は、単糖類(ブドウ糖と果糖)や二糖類(ショ糖)と比べると、胃や小腸で消化されにくく、大腸まで届くという難消化性の性質をもっているからです。
オリゴ糖は主にりんごやバナナ、ブドウなどの果物類、たまねぎやゴボウ、キャベツやアスパラガスなどの野菜類、大豆、サトウキビ、はちみつ等に含まれています。
そのほか、オリゴ糖は消化酵素による消化を受けず、血中インスリンの濃度にもほとんど影響を与えないとされています。
そのため、糖尿病を患っている方をはじめとして、血糖値への影響が気になる方にも安心だと言われています。
ちなみにオリゴ糖は、甘味料として砂糖の代わりに使えるオリゴ糖シロップや、粉末状のオリゴ糖サプリメントなどで、手軽に摂れるようになっているため、「プレバイオティクス」として腸内フローラ改善に非常に役立ちます。
◎フラクトオリゴ糖
フラクトオリゴ糖はショ糖に1~3個の果糖が結合したもののことで、たまねぎやごぼう、はちみつなどに含まれています。腸内環境を整えるほか、低カロリーの甘味料や虫歯になりにくい甘味料としても知られています。ミネラルの吸収を助けたり、骨密度の低下を抑制したりする効果もあります。
◎イソマルトオリゴ糖
イソマルトオリゴ糖は主にグルコースを構成糖とするオリゴ糖の一種で、熱や酸に強い性質があります。腸内環境を整える効果を持ち、免疫力の向上にも役立ちますが、他のオリゴ糖に比べると、全部が大腸まで届かないため整腸作用は低いと言われています。
◎ガラクトオリゴ糖
ガラクトオリゴ糖は2~6個の糖が結合したものを指すことが多く、単糖であるガラクトースを主成分とするオリゴ糖の総称です。母乳に含まれているため、赤ちゃんが最初に体内に取り入れる天然のオリゴ糖であるともされています。
最初にビフィズス菌のエサになり、腸内環境を整える効果があります。また、たんぱく質の消化吸収を助けるはたらきがあります。
◎ダイズオリゴ糖
ダイズオリゴ糖は大豆の皮や脂質を分離・精製して作られるオリゴ糖のことで、大豆に含まれる各種オリゴ糖の総称です。熱や酸に強い性質があるため、他のオリゴ糖よりも少量で腸内の善玉菌の増殖を促進させるといった特徴があるほか、料理に利用するとうまみやコクが出ると言われています。
甘みは砂糖の7割程度と砂糖に近いですが、カロリーは約半分です。
◎乳果オリゴ糖
乳化オリゴ糖は別名ラクトスクロースとも呼ばれ、発酵ヨーグルトなどに多く含まれています。オリゴ糖の中では最も甘いのが特徴で、天然のサトウキビに含まれるショ糖と牛乳に含まれるラクトース(乳糖)を原料として作られるため、人工的に製造されたものがほとんどです。
甘みがしっかりとしていながら、カロリーが低く虫歯になりにくいという性質もあります。また乳果オリゴ糖にはビフィズス菌のエサになり、免疫力を高めるはたらきもあります。
ちなみに、オリゴ糖を摂取する際は、粉末状のものなど、サプリメントから摂取するのも効率的でオススメです。