リーキーガット症候群とは「腸管癖浸漏症候群」とも言われており、私たちが知らないうちにアレルギーや炎症性腸疾患など、様々な現代病を引き起こしているとされています。
この「リーキー・ガット症候群」とは、十分に食べ物が消化・分解されていないため、本来は大きすぎて小腸の腸絨毛で決して吸収されないはずの栄養素の分子が、血液中に取り込まれてしまうというものです。
では、なぜそのような事態が起きてしまうのかといえば、小腸の腸絨毛が炎症を起こすことにより、テニスラケットのガットが緩んで広がってしまった部位が出来てしまい、そこから栄養素の大きな分子が入り込んでしまうからであると言われています。
この「リーキーガット症候群」については、デイビッド・パールマター氏の『「腸の力」であなたは変わる」』のなかで詳しく説明されておりましたので、引用してみたいと思います。
体が腸から栄養分を吸収するために使う経路は二つある。経細胞経路と傍細胞経路という。
経細胞経路を使って栄養分は上皮細胞同士のあいだを通る。この細胞同士の結合は 「密着結合」と呼ばれ、非常に複雑で厳密に管理されている。
「 リーキー・ガット(腸管からの漏れ)」 と呼ばれる腸内の透過性の問題を聞いたことがあるかもしれない。それは、この一〇~一五A(オングストローム)の長さの、密着結合の能力の問題のことを指す(オングストロームとは非常に小さい単位であり、典型的なウイルスや細菌よりもはるかに小さい)。もし、このゲートキーパー機能(出入り口の見張り)が正常に作動していなければ、「通していいもの(栄養)」と「阻止すべきもの(危険な可能性のあるもの)」を正しく監視できず、漏れてはいけないものが漏れだしてしまう。
これまで述べたように、炎症が増えることで体は浸食されやすくなり、さまざまな病気を引き起こしやすくなることがわかっている。
関節炎リウマチ、食物アレルギー、ぜん息、湿疹、セリアック病、炎症性腸疾患、HIV、嚢胞性繊維症、糖尿病、自閉症、アルツハイマー病、パーキンソン病、などだ。
このゲートキーパーがゆるくなったほうが望ましいこともある。
特定の腸感染症は、コレラ菌に起因するコレラのように、腸が逆方向に漏れやすくなっていることが特徴であり、血流から腸内に液体が入りやすくなっている。
これは細菌や毒素を希釈するのを助けるためだろうと考えられる。
最終的に、腸感染症で起こる下痢によって、細菌を体から排出するのである。
( 『「腸の力」であなたは変わる』 p78~79)
さらにデイビッド・パールマター氏によれば、「リーキーガット」は脳に対する深刻なダメージを引き起こす原因にもなると言います。
リーキーガットの弊害はまだまだある。最新の研究では腸の状態の低下による炎症の発生は「漏れやすい脳」につながる可能性があるとわかってきたからだ。
これまで脳は、まるで侵されることのない聖域のように、体の他の部位からは完全に独立して守られていると長く考えられていた。
脳には、悪いものを遮断する高度に強化された関門がある。これを「血液脳関門」と呼ぶ。この関門は脳に危険をもたらす恐れのあるものは、すべて入らないように遮断する壁だと長く考えられてきた。
しかし細菌、血液脳関門の完全性を脅かす多くの物質があり、問題を引き起こす恐れがあるさまざまな分子、たとえば通常は遮断されるべきタンパク質やウイルス、細菌でさえも中に入れてしまうことが明らかになった。
環境により、毒性を持ちうる侵入者から身を守る、脳の力が徐々に低下するのだ。
( 『「腸の力」であなたは変わる』 p80)
「リーキガット」は主にアレルギーを引き起こすとされていますが、氏はこの「リーキーガット」によって、「リポ多糖類=LPS」 など脳に悪影響を与える物質が腸管から漏れ出すとしています。
そしてこのことが、うつ病や自閉症、ADHD、アルツハイマー病を引き起こすのではないかと、その関連性を指摘しています。