ここでははちみつと腸内環境について述べています。
純粋はちみつや生ハチミツは、腸内環境を整えていくのに効果的な食材だと思われます。
なぜなら純粋はちみつには、カルシウムや鉄など27種類のミネラルと、 22種類のアミノ酸、80種類の酵素、ポリフェノールなどの栄養素・成分が含まれているとされていますが、これらの栄養素以外に、オリゴ糖やグルコン酸なども含まれているからです。
そのため、ハチミツには整腸作用があるといわれていますし、実際、インドの伝統医学「アーユルヴェーダ」では、蜂蜜は軽い便秘薬として使用されてきたといいます。
なかでも、純粋はちみつに含まれる難消化性の「オリゴ糖」は腸内に生息するビフィズス菌のエサになり、「プレバイオティクス」としてビフィズス菌を増やしてくれる働きがあります。
また、はちみつに含まれるグルコン酸にも、ヒトの腸内における有益菌であるビフィズス菌を増やす働きがあるとされていますし、「はちみつが発生させる過酸化水素による抗菌作用が悪玉菌を殺し、善玉菌を傷つけない」といいます(参考 前田京子『ひとさじのはちみつ』)ので、蜂蜜の摂取によって腸内細菌のバランスが整うことで、腸内フローラ・腸内環境が改善されることは十分期待できます。
特にヒト特有の善玉菌であるビフィズス菌は、年齢を重ねると共に減少していきますので、日頃から純粋ハチミツを摂るようにすることは、減少していくビフィズス菌を増やして腸内細菌のバランスを整えることにつながっていきます。
さらに、ハチミツに含まれる酵素の多くは食べ物の消化を助けてくれるほか、オーストラリアの蜂蜜である「ジャラハニー」に含まれる酪酸菌にも、腸内環境を整える働きがあるとされています。
したがって、普段の生活にグルコン酸やオリゴ糖などが含まれている純粋ハチミツを取り入れてみることは、腸内フローラの改善のために役立ちます。
しかし、コンビニエンスストアやスーパーマーケットに並んでいる数百円のはちみつは「純粋蜂蜜」という表記がされていても、加熱されているうえに水アメや異性化糖を多く含んだ「精製ハチミツ」である可能性が高いため、注意が必要です。
そのため、純粋はちみつ・生ハチミツを購入する場合は、低価格で大量生産されているものではなく、顔が見える養蜂家のものを選ぶことが大切です。
また純粋蜂蜜は高温で加熱してしまうと栄養バランスが損なわれてしまうので、はちみつを熱々のコーヒーなどに入れたい場合は、高温にさらされるのを避け、ある程度ぬるくなってから加えることが必要です。
そのほか、整腸作用や腸内環境を良くする働きがあるとされるアロエベラやヨーグルトなどと組み合わせて食べるようにすることも、腸内フローラの改善のためにオススメです。
実は、はちみつ自体にすばらしい整腸作用がある理由は、現代的な知見から見てもちゃんとある。はちみつのすごいところは、便秘にも、下痢にも、どちらにも、根本的に効くということなのである。日々の食習慣に継続的に上手に取り入れることで、対症療法ではない、根本的な腸の健康を手に入れることができる。
(前田京子『ひとさじのはちみつ』p173)
健康なエネルギーの源はどこかと考えてみれば、それは、取り入れた食べ物を耕し、発酵させ、微生物と共生し、栄養を循環させる、腸内フローラが育つお腹の腹の中だ。お腹の中にきれいな花を満開に咲かせることができたとき、からだに元気がみなぎる。
(前田京子『ひとさじのはちみつ』p180)