アミノ酸の一種であるグルタミンには腸内環境を改善する効果があります。そのグルタミンはよく、うま味成分である「グルタミン酸」と一緒くたにされていますが、「グルタミン」と「グルタミン酸」の性質は異なります。
そのグルタミンは免疫細胞のエネルギー源や小腸の栄養源となることで免疫系に大きく関与し、腸内環境の改善に役立つという指摘が、医学博士である松生恒夫氏によってなされています。
グルタミンの働きについて、松生恒夫氏は以下の五つを挙げています。
①小腸粘膜の最大のエネルギー源になる
②大腸粘膜で二番目に重要なエネルギー源になる(一番目は酪酸)
③リンパ球などの免疫細胞の発育と増殖を促して、免疫力を高める
④抗うつ作用がある
⑤キズ口の治りを促進する作用がある
(松生恒夫 『腸に悪い14の習慣』より抜粋)
さらに松生氏は①の「小腸粘膜の最大のエネルギー源になる」点に関して、以下のように述べています。
小腸の表面は粘膜で覆われています。粘膜は絨毛と呼ばれる突起からなっており、ここに小腸吸収細胞が存在しているのです。小腸内壁に消化すべき食物が存在することで、小腸吸収細胞は消化された食物を吸収し、絨毛内の非常に小さい血管に栄養素を運び、さらに肝臓を通して、全身の循環系へ栄養を送り込むことになります。小腸吸収細胞での栄養吸収や、小腸が正常に機能するための主要なエネルギー源がグルタミンなのです。
(松生恒夫 『腸に悪い14の習慣』 p145)
また、グルタミンの免疫増強作用に関しては「免疫担当細胞(リンパ球、マクロファージ、好中球等)や腸管(特に小腸)の粘膜細胞のエネルギー源として、グルタミンが働く」としています。
それに加えて松生氏は、グルタミンは、大腸の最大のエネルギー源である短鎖脂肪酸の酪酸の次に、大腸を動かすエネルギー源になると述べています。
しかも松生氏によればグルタミンは、免疫を担う全身のリンパ球の六割以上が集中している人体最大の免疫器官である腸だけではなく、免疫細胞であるリンパ球そのものの栄養分にもなるとしています。
そのため、免疫細胞であるリンパ球の増殖と発育が促され、免疫機能維持などにも役立つといいます。
さらに「腸管粘膜のグルタミンは小腸の周囲のリンパを司るリンパ球などの栄養分となり、小腸の粘膜を修復したり、粘膜の細胞の働きを高めて吸収を促したりしてくれ」るそうです。
ちなみにこのグルタミンは、アミノ酸の一種であるため、生魚(刺身)や生肉(タルタルステーキ)、生卵や発芽大麦など生のタンパク質に豊富に含まれていると言います。
しかし風邪をひいたり強いストレスにさらされたりすると、小腸の免疫機能が働くことでグルタミンが使われるため、不足しがちになり、免疫力が低下してしまうそうです。
そのため、免疫力の低下を防いだり、腸管免疫である小腸の機能を維持したりするためにも、グルタミンが含まれた食材をこまめに摂ることで、日頃からグルタミン不足を補うことが必要になってくると思われます。
またグルタミンはサプリメントでも補給することが可能です。