ここでは海藻類の腸内環境・腸内フローラ改善効果について述べています。
海苔、ワカメ、昆布、ひじきなどの海藻類は日本人の腸内フローラにとって大切な食材です。
まず、海藻類には水溶性と不溶性の両方の食物繊維が含まれているという特徴があるため、腸内環境を整えることで便秘の予防・解消などに役立ってくれます。
特にアルギン酸と呼ばれる水溶性の食物繊維が多く含まれており、この水溶性食物繊維は腸内細菌によって短鎖脂肪酸が作られる際にも必要になります。
また海藻類(海苔・昆布・ワカメ・ひじきなど)には、食物繊維だけではなく、タンパク質やビタミン類、鉄やカルシウムなどのミネラル類も豊富に含まれています。
さらに腸内フローラの研究者である福田真嗣氏は、腸内細菌と海藻類の関わりについて興味深いことを述べています。
腸内にはバクテロイデス属という細菌がいます。うんち1gに数百億という単位で生息している主要な腸内細菌のグループの一つです。その中にバクテロイデス・プレビウスという種がいるのですが、近年の最先端テクノロジーを用いた研究により、日本人の腸内にいるバクテロイデス・プレビウスは、海藻を分解する遺伝子をもっていることがわかりました。ところが、外国人の腸内から見つかったバクテロイデス・プレビウスは、海藻を分解する遺伝子をもっていませんでした。(福田真嗣『おなかの調子がよくなる本 自分でできる腸内フローラ改善法』 p125~126)
日本人は海藻を食べる文化をもっているので、長期間の食習慣は腸内細菌の遺伝子をも変えてしまうことがわかりました。つまり、日本人の腸内にはたくさんの海藻が運ばれてくることが多く、それらをうまく分解してエネルギーを取り出したほうが、バクテロイデス・プレビウスにとっては腸内に定着するのに有利だったため、海藻を分解する遺伝子を外部から獲得し、自分のものにしたのです。(福田真嗣『おなかの調子がよくなる本 自分でできる腸内フローラ改善法』 126)
このように日本人の腸内フローラ・腸内細菌と海藻類は進化の過程において深い関わりがあるのです。そのため海藻類は腸内細菌が喜ぶ食材だと言えそうです。