ここでは腸内細菌が作り出す「短鎖脂肪酸」について述べています。
「短鎖脂肪酸」とは、飽和脂肪酸の一種で、酢酸、酪酸、プロピオン酸などの総称です。
この「短鎖脂肪酸」は、腸内に食物繊維やオリゴ糖といった腸内細菌のエサが送られてきた際に、腸内細菌が「発酵」という現象を起こすことで作られます。
短鎖脂肪酸の効果
(藤田紘一郎『腸内細菌が家出する日』p140)
短鎖脂肪酸は、腸上皮細胞の重要なエネルギー源であると共に、アレルギー反応を抑えたり、セロトニンの分泌を促してうつを予防したりするなど、万能薬のような働きをすると言われています。
また、抗炎症作用や大腸粘膜を刺激してぜん動運動を促す働きもあるとされています。
しかし、この短鎖脂肪酸の恩恵を享受するには、やはり、腸内細菌のバランスが整っていなければなりません。
短鎖脂肪酸は特定の腸内細菌が生み出すのではなく、腸内フローラと呼ばれる腸内細菌の多様性が作り出すのです。
したがって、腸内環境の悪化が発症原因に関わってくる、花粉症やアトピー性皮膚炎といったアレルギー症状や、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患、うつなどを、短鎖脂肪酸によって予防・緩和するためには、普段から、腸内細菌のバランスを整えて腸内フローラを改善していくことが大切なのです。
そしてそのためには、野菜や海藻類などに豊富に含まれる食物繊維を多く摂る食生活、特にグァー豆酵素分解物などをはじめとした水溶性の食物繊維を十分に摂ることが必要になってくるといわれています。